新築移転を機に新しい都市型精神科病院をめざす
医療法人風のすずらん会 江別すずらん病院
理事長 伊藤正敏氏
事務長 長崎光治氏
美唄市から江別市へ移転されたきっかけを教えてください。
精神科医療は大きな転換期を迎えています。元の美唄病院はハードもソフトも時代に取り残されていました。そのため建て直しを考えたのですが、美唄は人口も減少しており、患者さんも職員も集まらない状況でした。そこで、活路を見出すべく札幌の近郊に移転する計画を立てました。
江別市は札幌市の隣に位置し、北海道では数少ない人口増加地域でもあります。しかも、病院の場所は最寄駅に非常に近く、ショッピングセンターの近接地という立地で、ここであれば、開放的で周囲の環境や地元になじむ新しい精神科医療が提供できると考えました。
病院の新築にあたりどのような点を重視され、それをどのように活かしたいとお考えですか?
「地域になじむ建物」を模索した結果、工事の際に採取された土で江別名物のレンガを作って院内の柱や壁の一部に配するなど、地域愛が感じられる建物になりました。
また、近年はうつ病の増加などにより、精神疾患がより身近な存在になっていることから、地域の人が困った時に頼ってもらえる医療機関を目指し、ふだんから門戸を開くことをコンセプトに据え、「開放的で病院らしくない病院づくり」を追求しました。
それを象徴しているのが、カフェテリア「リリー・バレー」で、職員のみならず、地域住民も使用できるスペースとなっています。このスペースを活かしイベントを開催するなど、病院を身近に感じてもらえる雰囲気づくりに努め、地域とのつながりを強化したいと考えています。
また、思春期と認知症の専門外来を展開し幅広いニーズに応えるとともに、デイケアや訪問看護、急性期医療にも取り組み、新時代の精神科病院としての挑戦を続けて参ります。
設計・施工会社にソム・テックを選ばれた理由を教えてください。
医業経営コンサルティングに実績のある総合メディカルのグループ会社なので、施主の立場になって設計から施工、その後の運用までトータル的なアドバイスやサポートが期待できると考えお願いしました。
さらに、本件建て替えプロジェクトに多くの病院の人員を割くことが難しいため、専門家が一緒になってプロジェクトを推進してくれることは効率化につながると考えました。
設計・施工会社としてどのような点でソム・テックがお役に立てたでしょうか?
工事期間中は、ソム・テックの責任者が現場に常駐し、気づいた点はすぐに設計担当者や施工者と専門的な知識でもって調整していただきました。
また、建物の工事だけでなく、病院内の備品に至るまでトータル的なアドバイスをいただき、建物との統一感を図ることもできました。
また、竣工後もソム・テックの担当者及び総合メディカルグループ全体でフォローしていただいており、安心して病院を運営していける点も助かっております。
移転後の職員の方々や患者さん、地域の皆様からの反応はいかがでしょうか?
院内は1階のロビーやカフェテリア、6階の機能回復訓練室は、高い天井、吹抜けのライトコートなどで明るく開放的な仕様になっており、管理部門もガラスのパーテーションやオープンカウンターを用いることによりプライバシーを配慮しつつも開かれた印象で、患者さんや職員に好評です。特に、「今までの精神科の病院とは思えない、明るく親しみやすい建物だ」という声を聴くことが多くなりました。
また、北海道の冬は降雪も多く非常に寒いのですが、外断熱仕様で床暖房など効率的な暖房システムを提案していただき、暖かいと患者さんだけでなく、ご家族の皆様にも喜ばれています。さらに、吸排気システムを導入したことにより、病棟特有の匂いも気にならなくなりました。
新病院開院後も、職員から挙がった運用上の問題点に対し、ソム・テックの担当者にアドバイスをいただきながら改善を行っております。働きやすく、より良い医療環境を構築でき非常に助かっております。
施設概要
施設名 | 医療法人風のすずらん会 江別すずらん病院 |
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所在地 | 北海道 |
公式ホームページ | http://www.kaze-suzuran.com/ebetsu/ |